TEXT&PHOTO:JUNYA KATO(PARK inc.)

1000枚ものチケットはすでにソールドアウト。関係者でさえなかなか入ることができないという噂さえ聞こえて来た。あの『UNIVERSE』に1000人。想像するだけでまわりの酸素が薄くなって行く気がして、しかし、興奮する。

2014年2月23日。日曜日の夕方。

グラフィティ、写真などのアートや、音楽のカルチャーを発信するWEBマガジン ZERO MAGAZINE による
デイパーティ『愛と誠とCELLLOID』の寛大な協力のもと、FOREVERな場所でのFOREVERな瞬間を探して来た。これはそのレポートの一部である。

 
オープン前だというのにすでに長蛇の列ができている。 なんば - 千日前 - 日本橋。アクセスの良さはさることながら、大阪の笑いの聖地でもあり、大阪きっての観光地でもある『なんばグランド花月』があることもあって、この街には平日休日かぎらずたくさんのひとが集まる。通りを行き交う人々は、地元民か、観光客か、どちらにせよ、味園ビルという異様な建築物の前に出来た長い列を横目に、『?』を頭に巡らせながら通り過ぎて行く。そして、その長蛇の列は、日没を待たずしてそのビルの地下に広がる元グランドキャバレー『ユニバース』に吸い込まれて行く。
 
地下に吸い込まれて行った男女は、1つの小さな宇宙(ユニバース)に出会う。と言ってしまうと大げさかもしれないが、はじめてここに来たであろう男女は漏れなく目を輝かせながら、『ユニバース』を前に息をのみ「味園の地下はすごかった」と(ユーリ・ ガガーリン「地球は青かった」のごとく)つぶやく。そしてパーティ熟練者は、素早く荷物をクローク預け、宇宙遊泳のごとく人ごみをかき分けドリンクカウンターへ向かう。

そして何より(味園ビルの階上にあるホテルの滞在客へ、内心、気を使うほどの)音圧に気持ちは煽られ、徐々に、自分が、ユニバースに吊るされた1つのモニュメントとして浮遊してゆくかのよう。

追記:例えば東京。ユニバースのような空間をライブ会場として使用する場合、音量に関してはかなりナーバスになる必要がある。街や住む人間の性質上、ナーバスにならざるをえない。しかし、ユニバースは街における小宇宙としての役割を全うするかのように全身を最大限まで鳴らしている。
 
1つのパーティサンプルだけを状況証拠に『いま、東京よりも大阪のパーティの方がアツい!』というつもりはない。しかし、大阪の老舗クラブ『NOON』の摘発(2012年)から昨今まで続く、風営法の厳密化による不当な向風の煽りを受け続ける関西のパーティシーンを背景に見た瞬間、ユニバースは、見たことのない類の不思議な熱気に覆われている気がした。会場にいる全員による『いま』を『楽しもう』とする姿勢が、独特の一体感を作り出し、今か、今かと待ち構えていた。もしこの感覚が気のせいだったとしても、それに匹敵するムードが、あの日、あの場所にあったことは間違いない。その証拠に、演奏がはじまった瞬間、会場がまるで蜂の巣をつついたよう、一気に狂乱に包まれた。

参考:風営法問題を通して様々なミュージシャン達が、クラブ、ダンス、そして日本の音楽の未来について語るドキュメンタリー映画『SAVE THE CLUB NOON』!!
 
夕方にはじまり、夜には終わる日曜日のパーティということもあって、会場には親子連れも目立つ。子供はひたすら音に合わせて踊ったり、会場で売られているフードやジュースを手に喜んでいたりする。眩しいくらい純粋だ。その横で、光に包まれて会場に漂うタバコの煙や、ひと目を気にせずに抱き合い口づけを交わすカップルや、泥酔寸前で踊るパンクス、神経質に眉をしかめるサブカル女子、床で潰れるビールの缶も、大きな音もいつかみんな消えてしまう。いや、いつ消えてもおかしくないみんな、である。しかし、いつだって、誰かが選んで、判断して、捨てていく。

FOREVER ZINE は音楽専門誌ではないので、今回のパーティに出演していた1組1組のアーティストたちによる名演のレポートはあえて避ける。しかし、1つだけ。
パーティのトリを飾った『スチャダラパー』(敬称略)によるライブの中の1曲『今夜はブギーバック』(アンセム)の、最後の一節を引用させてもらう。

— このメンツ、このやり方
この曲でロックし続けるのさ

永遠に終わらない、ということは、永遠に続くということ。会場に集まる全てのひとたちが、この『正しい言葉』に共鳴して、震え、会場を揺らしたような気がした。

1000枚のチケットは即ソールドアウト。しかし、ここは同じキャパでも東京を代表するライブハウスLIQUIDROOMではない。そもそもライブハウスでもない。ここは、2011年に幕を閉じた、大阪のとあるグランドキャバレーの跡地。そんな空間に簡単に(いや、もちろん長い歴史とオーガナイズサイドの信頼のおける抜群のセンスがなせる技には違いないが)1000人を集める、その吸引力。

1つの偉大なパーティを通じて、「ユニバース」の宇宙的な無限エネルギーを見た気がした。

もっと語るべき瞬間が山ほどあった気がするが、一種の躁状態のうちに通り過ぎてしまったことも確かだ。だけどこの先も、まだまだパーティは続いて行く。そんな期待も込めて、このパーティレポートはここでアンカーポイントを打ち、次のFOREVERにつなげようと思う。

2014年2月23日。大阪の某ホテルにて。